建築においてよく使われる専門用語に「化粧」があります。
化粧とは外に見える部分のことで、
化粧垂木や化粧梁などの用語として使われます。
確かに、化粧にとって家の特徴が表現されることは、
もっともなことです。
しかし外見だけが完璧であっても、
仕上げの後ろに隠れている構造もしっかりしているからこそ、
建物は機能するのです。
戦後の木造住宅は、在来工法と呼ばれる壁に
筋違いを入れた工法が主流になっています。
筋違いは合理的に地震の力に抵抗する部材ですが、
江戸時代までの日本の伝統工法には使われていない部材でした。
材料は少なくて済みますが、うまく使わないと応力が集中し、
周辺の梁や柱を壊してしまう恐れがあります。
日本の伝統工法は、部材を太くし、
多くの部材を使用することにより、力を分散させる工夫をしてきました。
日本の伝統工法の系譜に連なる城屋根工法においても、
多くの部材を使い、地震時の応力の集中を防いでいます。
構造材が表面に見え、意匠と合体した日本の伝統建築の姿を体現しています。