板図
きざみに先立ち図面を作ります。
ベニヤ板に間取りを書き込みます。
間取りと柱の位置を書き込んだいたってシンプルな図面です。
私たちはこの図面のみで家にしてしまいます。
この図面に柱の根ホゾの方向、梁の大きさ(下がり寸法)、梁の出など構造材の
すべての事柄をわかるように書き込んでいきます。
ある程度の決まり事はあるようですが最終的には自分がわかればOKだと私は思います。
この図面作成後、まず土台、梁、母屋、小屋束、柱の順に墨付けしていきます。
これは順番通りにいかないと家になりません。
弊社独特の化粧造りの屋根は反り上がっています。
無理やり鋸目を入れて曲げているわけではありません。
私たちはこの道のスペシャリストですから素人のような見世物を作るわけにはいきません。
屋根は建物の大切な構造体と位置づけていますから木の繊維をいためないように
一本一本木の繊維を見て木取りを行います。
いつもこの屋根を作っていますから1段目、2段目、3段目と形は決まっています。
形を型にして用意しています。1本の太鼓梁から平均2本の部材を木取りしていきます。
大きめに墨をしてまず荒挽きします。
この乾燥期間で木の癖を取ることが出来る。
電気かんなで反りを整え、最後は手かんなで仕上げていざ現場へ搬入、取り付けとなっていきます。
30センチを超える柱は数奇屋造り・化粧造りには欠かせない材料です。
キャシャな見せるだけの造りと一味違うがっちりとしたホゾを作ります。
硬い材料でも何とかして穴を掘り、何とかしてホゾをつける。
それが大工です。
どんなところでも、どんな格好をしても釘を打つ。それが大工です。
そう教えられました。
弊社加工場より大型車で運送します。
入らない場合は積み替えなどを考え、現場までお届けいたします。
東京都内の現場では材木市場の敷地を借り、そこから2トン車で運び込んだこともありました。
大黒柱に240以上の鴨居を差し込む作業です。
この作業も簡単に見えますが、加工の段階で一度仮組みをしています。
ですからある程度は入ります。
しかし、現場では角度や水平がまだ整っていませんので中々所定の位置までいかないこともあります。しかし、一度入っていますから職人の技術で材をととのえ入れ込みます。
入れ込んだ後は、見えない部分へ込み栓やボルトを使用して絶対に抜けないように
締めこみます。
ボルトは現代のもので便利ですので多用しています。締め付けが良くて多用しています。
使えるものは使いましょう。ボルトは時間がたつと緩むのが欠点です。
込み栓は昔からある技法で手間がかかる方法です。
しかし一番の元祖、そして緩むことのないやり方と思います。
手間がかかるからどうしてもボルトで行いますが本物の造りとしてはやはり込み栓でしょう。
少々値段・金額がかかっても本物の込み栓技法を見てください。
実際に見てみるとなるほど。となりますよ。
数奇屋造り・化粧造りは大桁という長い化粧梁で外周を組み込みます。
時には加工が上手すぎて中々入らないこともあります。
全員でタイミングを合わせてかけやで叩き込みます。
この姿、まさに大工です。
台所のカウンターです。
木曽桧の板を使ったカウンターテーブルです。
独特の真っ赤な節が綺麗に出ています。
この色気が大好きです。無節も立派で綺麗ですがこの節もいいものです。
飽きが来ない。これこそ無垢の醍醐味です。
トイレは小便器と大便器の2台を同じスペースに設置しましたので中間に衝立を立てました。
ただの壁では何のとりえもありません。
この材料はクスという木です。
このような大木はいつもあるものではありません。
いつも見ている差し鴨居にひと工夫。見たことも無い鴨居が出来上がりました。
家造りは何事も発想が大事です。家造りも毎日が勉強です。
栃木県栃木市200坪の敷地に建つ 化粧造り住宅。
方除けに非常に詳しい建て主で業界では非常に有名な方の住宅。
鬼門を完璧に除け、建物の方位を決め、基礎から作りました。位置決め(角度)にはかなりの時間を費やしました。地鎮祭・上棟時には法螺貝の音が鳴り響く本格的式典で御祈祷を行ったことを今でも鮮明に覚えています。
この有名な方の自宅を建てたことでいろいろな事を学び、ぶつかり合い、成長した現場でした。
まさにこの現場があり今の私が居る。そんな感じです。
織田信長の門 調べてください。
ケヤキ柱を立てて、ケヤキの鴨居を差し込んだだけのいたってシンプルな門ですが
何か独特の雰囲気。やはり信長という感じです。
頭に銅板で加工した帽子、梁には銅板で屋根をかけて皆を迎えます。
車の出入りを考えての造りで扉にはあえてしませんでした。
車をつけた衝立でふさいでいます。実に立派です。