木の癖


みなさん何か癖はありますか?私は、最近はしなくなりましたが貧乏ゆすりが一時ひどかった時期があります。こんにちは、山口敦央です。

今日は、木の癖のお話。

私たちが家を作る際、まず木を見ます。
その木は、丸太でも、製材所で角材にした材料でも、現場の作業でも同じです。

木には一本一本癖があります。人間も一人一人性格が違うように木にもあるんですね。
繊維によって曲がり方が変わってきます。1,800mm長さの木が真ん中で反り上がるなど様々な曲がり方が起こってきます。

その癖がついている材料をダメだと言ってしまうのは大工ではないでしょう。
癖を活かす。それが職人。
曲がっているものを使っても最後にはまっすぐに変えてしまうように適材適所に、そして方向を考えて使う。知恵と技術の結晶。

たとえば、梁(はり)
梁は大小ありますが水平方向に柱間をつなぐ横架材です。下に柱がありますから柱の上部に梁がついた時点でまっすぐになればいいのです。
したがって膨らんでいるほうを上部にくるように材料を使います。
ですから丸太やタイコ梁を使う際は必ず真ん中が跳ね上がっています。
屋根の母屋材も同じような材料の使い方をしています。
材料が跳ね上がっていても重力と屋根材の重さで束材から梁材、そして柱材にぴったりと据え付くのです。

私たちは、屋根の形を作っている垂木も癖を見て打ち付けます。
なぜかというと、軒先は何もないところに垂木で保っている部分です。
垂木が下を向けば軒先が下がってしまいます。
垂木も打ち付ける前に反り具合を一本一本見てきちんと使い方を決める必要があります。
軒先側で反り上がるように使っておき、軒先を整える材料で押さえつける。
見た目同じく出来上がってこそきちんとした家だと思います。
この作業は、私たちの現場では必ず行う作業です。

これを何も考えずに逆に使ってしまったらどうでしょう?
これは大変なことになってしまいます。

重力と木の重さは同じなのですから、下に垂れ下がる繊維なりにさらに下がってしまいます。次から次に。

そして棟も下がり外観でもわかるようなひどい状況も考えられます。
この木を見る、木の繊維の癖を見る何気ない仕草も大工職人にも、皆さんにも大事なことなのです。それでは。



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